1.進む核開発とミサイル飛来
2.ミサイル防衛とイージスアショア
3.日本のミサイル防衛
4.待ち望まれるTHAAD
5.本当に日本を守れるのか?
6.日本のミサイル防衛はヤバい…
7.終わりに
1.進む核開発とミサイル飛来
北朝鮮が水爆実験に成功し、それを搭載したミサイルが発射可能なところまできた。
今後はそう思ってよいだろう…
最近の日本のミサイル防衛において重要な節目に来ていること、今後は自分の頭上にいつミサイルが飛んできてもおかしくない時代に突入したのだなと私は実感している。
実際札幌在住ということもあり8月29日の北朝鮮のミサイル発射を受けて【Jアラート】のエリアメールの着信音に驚いたものだ。
日本政府はミサイル防衛としてイージスアショアの導入を決める方向で進んでいるようだが…。
【イージスアショア】なる聞きなれない名称が出てきているがど一体どのようなものだろう??
2.ミサイル防衛とイージスアショア
イージス=盾
アショア=陸の
イージスアショアは陸のイージスシステム
施設の画像を見ればわかるが海上自衛隊のイージス艦の艦橋を丸ごと陸地に設置したような形でミリタリーに詳しい人が見れば「なるほど」とうなずく人もいるだろう…。
運用は海上自衛隊の護衛艦に搭載されているイージスシステム
- SPY-1レーダー
- 指揮決定システム
- 武器管制システム
- 射撃管制システム
- ミサイル・ランチャー
- スタンダード対空ミサイル
- イージス・ディスプレイ・システム
- 自己診断システム
- 即応性保持システム
上記のレーダーでミサイルを補足から迎撃までの一連の動作・設備を全て統括するパッケージ全体を『イージスシステム』といっていいようです。
陸上からそれらを操作して北朝鮮からの脅威に備えるわけです。配備予定は2か所でどうやらその2か所で日本全土はカバーできるようです。
3.日本のミサイル防衛
日本のミサイル防衛は2段構えと言われており
海上の護衛艦からのイージスシステムと陸上のPAC3(パトリオットミサイル)がある。それらは運用方法や射程距離が異なりイージスは長距離コスト大、パトリオットは超短射程コスト低と分けられる。
ミサイルの軌道はブースト・ミッドコース・ターミナルとに分かれそれぞれミサイルの飛び方、迎撃方法、難易度が異なる。
THAAD | イージスシステム | PAC3 | |
ブースト・フェイズ | ✕ | ✕ | ✕ |
ミッドコース・フェイズ | ✕ | 〇 | ✕ |
ターミナル・フェイズ | 〇 | ✕ | 〇 |
ブースト段階での迎撃法は現時点で構想はあるものの実用段階ではないので割愛。
問題は目標となる弾道ミサイルが地上100kmの宇宙空間を慣性飛行している段階の
『ミッドコース』フェイズでの第1段階
大気圏内に入り地上に来るまでの
『ターミナル』フェイズの第2段階
そして地上十数キロ前後の地上ギリギリでの
最終防衛ラインの3段階
でいかに撃ち落とせるか?
という3段構えということです。
しかし日本には3段構えの2段目がない。
都市部にミサイルが飛来した場合ミッドコースで打ち漏らしたミサイルは
十数キロの射程しかないPAC3の射程圏内まで黙って指をくわえているしかないのである。
その空白域およそ70km…
地上十数キロで撃墜したとしても弾道ミサイルの破片まで消し去ることはできません。
確実に破片は落ちてきます…
最悪ミサイル迎撃に失敗すれば即OUTです…
個人的には心許ない…
もう少しイージスシステムとPAC3の間の空白を埋める迎撃システムはないのか?
4.待ち望まれるTHAAD
提供:U.S. Department of Defense, Missile Defense Agency/ロイター/アフロ
THAADはXバンドのフェーズドアレイレーダー(AN/TPY-2)、C4Iシステムからなる。Xバンドレーダーは1,000km以上(2,000kmともいわれている)の広範囲な探知距離を持ち、その範囲内で発射されたミサイルの追跡や迎撃、さらには迎撃ミサイルが目標まで到達するまでの中間誘導もやってのける。そしてなによりミッドコースで打ち漏らしたミサイルをターミナルフェーズにて精度の高いレーダーで補足し撃墜することが期待できます。
THAADの凄さは高性能レーダーと広射程、完成度の高い洗練されたシステムということです。
しかもその高性能レーダーだけが既に青森(車力)京都(丹後半島)に設置済みなんですよね…。
国は海自のノウハウがそのまま使える既存のイージスシステムで良いと考えているのか?
日本政府が韓国のように『THAAD』を配備しないのはなぜか?
理想である3段構えにしない理由がわからない。
色々調べると導入コストや環境整備の問題もありますが…
やはり政治的な問題があるようで…
中国・ロシアが懸念を示しているのが大きいと思います。
特に中国は朝鮮半島(韓国)にXバンドレーダーを置かれるだけで中国東北部のほとんどを丸裸にされるも同然になり、もし仮に中国側がミサイルを発射した場合、その時点でXバンドレーダーに捕捉され、どのようなタイプのミサイルか?積んでいる弾頭は何か?までわかるそうです。そのうえ日本にも追加配備されるとロシアも極東地域のほとんどをカバーされ、戦略上厄介になることは必至。日本政府に水面下で圧力をかけTHAADの導入を遅らせてているのではと私は考えてしまいます。
5.本当に日本を守れるのか?
平成28年度防衛白書
という疑問が出ており。
「ミサイル防衛は現時点で既に無理がある」
「政府は日本のミサイル防衛を過信している」
「ミサイル防衛に100%安全はない!」
と懐疑的な意見が多い。
実際北朝鮮には100発単位の発射設備があるのか?また、同時に何発なら撃てるのか?種類はどうなのか?疑問が生じる…
これらについては軍事評論家の間では
「種類に関係なく36発までは発射可能」
という見方が今のところ有力だそうです。
では、無いことを祈りたいが…
もし北朝鮮が36発同時に弾道ミサイルを発射したらどうなるのか?
<<第1の盾>>
イージス艦による迎撃
イージス艦は200個以上の目標を探知し、同時に18発のミサイルを誘導できる。
この装備を持ったイージス艦を日本は6隻保有し、現在日本海に3隻展開しています。
単純計算で18✕3=54で54発までのミサイルに対応できるということですが…
イージス艦が搭載している迎撃用ミサイル(SM-3)は最大9発
9✕3=27発
ということで北朝鮮に36発同時に弾道ミサイルを発射されたら…
た、足りない…
実際のところ残りのイージス艦隊(3隻)やアメリカ艦隊などが緊急時に対応できるかがポイントとなりますが…実際のところどうなのでしょう。
ただ、言えることは現時点で第1の盾では防ぎきれません。その上SM-3の命中率が96.76%ですから撃ち漏らしは十分あり得ます。
<<第2の盾>>
パトリオットミサイル(PAC3)による迎撃
射程十数キロ(長くても20km)でミサイル防衛の最終ラインを担うのがパトリオットミサイル(PAC-3)です。SM-3と同じく直接飛んできた弾道ミサイルに対して直撃で対象物を破壊する迎撃兵器です。現在パトリオットミサイル命中率は約83%ですが、その後のソフトウェアのアップデートで飛躍的に命中精度が向上しました。最近の14回のテストでは14回中14命中と
なんと100%!
とても頼もしい兵器と言えるでしょう…
しかし…
パトリオットミサイル(PAC3)は軍事施設などの拠点防衛に設計された兵器で、意外に知られていないのがその…
守備範囲の狭さです
パトリオットミサイル(PAC-3)の対象物に対する射程はおおよそ20km範囲は約50kmとかなり狭い守備範囲と言えます。
とても日本全土をカバーできるとは思えません。
これが現実です。
6.日本のミサイル防衛はヤバい…
前述のとおり現行のミサイル防衛システムでは完全でないどころか…
かなりヤバいです(汗)
- 北朝鮮が可能な限りの弾道ミサイルを発射した場合、日本だけでは確実に食い止められない
- 日本のミサイル防衛で、ミッドコースで撃ち漏らしたミサイルは守備範囲の極端に狭いPAC3でしか防ぐ手立てがない
アメリカが業を煮やして強硬な軍事行動を展開したら、追い詰められた北朝鮮は弾道ミサイルを発射するでしょう…
7.終わりに
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